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2009.02.28 (Sat)

第一楽章 第三話「靄(もや)」

朝に見た夢のせいだろうか。
何故か嫌な予感が頭から離れない。

雰囲気が伝わったのか、灯里は怪訝そうに僕の肩を2度叩いた。
いつの間にかこの行動が僕に何か気になることのサインになっていた。
いわゆるドラクエでいう便利ボタンだ。

「ああ、今朝見た夢が気になってね。」
「ゆ…?」
「とはいってもどんな夢を見たのか思い出せないんだけど。」
「…み…ない…」
「最近見てないの?」
「う…。」

僕は灯里の会話に調子を合わせ、灯里は僕の歩きに歩調を合わせてくれる。
そうやって僕たちは補いながら存在していた。



他愛無い話をしているうちにどうやら大通りに着いたらしい。
やはり開けているところでは、車や雑踏もそうだが根本的に感じる音の聴こえ方が違うのだ。

ブロロロロロロッ

(今日はやけに車通りが多いな。)

「………。」
「どうしたの灯里?」
「だい…ぶ…。」
「そっか、今日は車が多いから気をつけないとね。」

灯里の言動が多少腑に落ちないが、僕を心配させないようにしたのだろう。
そんな彼女の気配りに感謝しながら、道路を横断する。

カンッ

乾いた音と共に、灯里の握る手が多少強くなったように感じた。

「灯里、これは何?看板のように感じるけど、こんなのあったっけ?」
「………。」
「灯里?」
「あ…う。」

(なんだかいつもと雰囲気が違う?)

………。

もしかして…時間?
…そうだった!今日は遅刻気味だったんだ!
制服の左ポケットにいつも入れている音声時計取り出し、一番の左スイッチを押した。

現在 8時 15分 デス。

「も、もうこんな時間!?」

夢について考える時間が長すぎたのだろうか。
どうやらすっかり歩みが遅くなっていたらしい。

(こりゃ今日は朝飯抜きだな…。)

遅れを取り戻すように、2人は足早と学校へと向かっていった。



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2009.02.27 (Fri)

第一楽章 第二話「少年の目」

僕の名前は黒澤光輝(くろさわこうき)
生まれつき目が見えないということ以外は何の変哲もない、どこにでもいるような普通の高校生だ。
父さんは僕が幼い頃に他界し、顔もよく覚えていない。
一人暮らしをしている大学生の姉が一人おり、現在は僕と母さんが二人きりでこの家に暮らしている。
本来なら幼少期から盲学校にずっと通うことになっていたのだが、母さんが僕の意思を尊重してくれたおかげで一般の公立高校に通うことができた。
もちろんその過程の中には母さんの血の滲むような苦労があったに違いない。
僕が一般の学校に入学できるようにと母さんが何度も頭を下げてくれたこともあった。
母さんには心の底から本当に感謝している。

高校の制服のブレザーに着替え終わった僕は、まだ痛みが止まない後頭部をさすりながら階段をゆっくりと降りた。
炊き立てのご飯の香りと卵焼きのにおいがまだ眠気の覚めない頭には心地よいスパイスになりそうだ。

ピンポーン♪

階段を下り、リビングに入ろうとした瞬間、いきなり玄関のドアのチャイムが鳴った。

「あら…灯里ちゃん、もう来ちゃったんじゃない?」

「マジで!?もうそんな時間か…」

「あんたが早く起きないからよー、もう」

僕と母さんは急いで玄関に向かった。

ガチャッ

「あら、いらっしゃい」

「ぁ、ぉ…」

「光輝、灯里ちゃんが『おはよう』だってさ」

「おはよう、灯里」

「ごめんね灯里ちゃん、光輝がまだ準備できてないのよ」

彼女の名前は近藤灯里(こんどうあかり)
幼稚園の頃から今までずっといっしょに過ごしてきた僕の幼馴染だ。
家が近いということもあり、毎日のように学校に行くときは僕の家まで迎えに来てくれる。
実は彼女はうまく言葉を話すことができない。
別に知能の発達が遅れているというわけじゃないし、単なる舌足らずというわけでもない。
小学生のときに誘拐事件に巻き込まれ、それがトラウマになり、うまく言葉を発することができなくなってしまったのだ。
その誘拐事件の犯人はすぐに捕まり、事件は解決したにもかかわらず、彼女の心の傷はまだ癒えないようで未だに言葉を発することは難しいようだ。
灯里が誘拐されたとき、僕は彼女のすぐそばにいたのだが、目が見えなかったこともあったため、その事実に気付くことができなかった。
あのとき僕が彼女を助けることができたらどんなによかっただろうと考えると、今でも罪悪感が込みあがってくる。

「いつも迎えに来てくれてありがとうね、灯里ちゃん」

「ぃ、ぇ…」

「でもまだ光輝が準備できてないのよー」

「あぁ、今日は朝食抜きでいいよ、せっかく作ってくれたのにごめん」

「あら、しょうがないわね…それなら学校に行く途中で何か買って食べていきなさい」

母さんはそう言うとポケットから千円札を取り出し、僕の手に握らせた。

「わかった、ありがとう」

「途中でお腹空いて倒れたりしないでよー」

僕は学校指定のバッグを手に取り、靴を履くために玄関に座り込んだ。
自分のスニーカーを見つけるのに手間取っていると、灯里がスニーカーを見つけて渡してくれた。

「そういえばあんた今日、進路希望調査の提出日だったでしょ?」

「そうだったっけ?」

そう言うと母さんは家の奥から大きめな封筒を持ってきて、僕に手渡した。

「はい、これ。ちゃんと持って行きなさいよ」

「ありがと。それじゃ行ってきます」

「それじゃ灯里ちゃん、光輝のことよろしくお願いするわね」

「ん…」

「今日もよろしくね、灯里」

僕は両方の靴を履き終えると、右手に白杖を持ち、立ち上がった。
そして彼女は僕の左隣りに立ち、僕の左腕を抱えるようにして寄り添って歩く。
時には僕が行きたい方向に彼女を引っ張り、時には彼女が僕を誘導してくれる。
いつも家と学校を行き来する数十分間はこんな風にして彼女と二人で歩く。

女の子と二人きりで手を取り合って歩く。
年頃の男子高校生なら鼻の下を伸ばしてもいいような展開なのかもしれない。
でも僕はもうすっかりこのシチュエーションに慣れてしまった。

それに、そんないかがわしい気持ちじゃいけない。

目が見えない僕にとっては彼女がそばにいてくれることこそが僕の目になるのだから―

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2009.02.25 (Wed)

第一楽章 第一話「光と闇と少年」

今から何千年も前の遙か遠い昔、今の時代で言うエジプトの地域を生きていた人はこう言っていたそうだ。

 1があるから0がある。
 表があるから裏がある。
 朝があるから夜がある。
 光があるから闇がある。
 希望があるから絶望がある。

 ある一つの事象が存在しなければ、その正反対のもう一つの事象は存在しないのだ。




ジリリリリリリリ!

(ん…うるさいな…)

天井を反射した音の振動が僕の耳を絶えず刺激する。
なんだかいつもより音が遠くから聞こえるような気がする。

いきなりの目覚まし時計のアラーム音で僕は眠りから覚めた。
後半身には密着した冷たい床の感触がじわっと広がる。
たぶん寝ている間にベッドから落ちてしまったのだろう。
そのときの衝撃が残ってるのだろうか、後頭部に一瞬だけ痛みが走った。
ふと首の周囲をさすってみると…尋常じゃない汗の量だ。
さっき見た夢のせいだろうか。

枕元のデスクラックの上に置いてある目覚まし時計を数回叩き、ベッドに腰を掛けて一息つく。
外では窓ガラス越しにセミの鳴き声と小鳥のさえずりが絶妙なハーモニーを生み出している。
そこに突然、選挙カーのスピーカーから流れるけたたましい演説が不協和音となり、響き始めた。
こんなに騒がしい朝ならば、きっと今日の天気は雲一つない快晴に違いないだろう。

「…起きた?」

母さんの声だ。
そっとデスクラック横の白杖に手を伸ばす。
今日も僕の手によく馴染み、これがそばにあるだけで心が落ち着く。

「あぁ…うん、今起きたよ」

僕は立ち上がり、伸びをしながら返事をした。

「そろそろご飯できるから降りてきなさいね」

母さんが階段を下りていく音が聞こえる。

さっきの夢は何だったんだろう。
あんなに汗をかくほどの夢だったはずなのに、なぜかどんな夢だったのかが思い出せない。
とにかく悪い夢だったような気がするのだけれど。
僕はそんなことを考えながらまたベッドに座りこんでしまった。

「…であり!地域住民の皆様一人一人のニーズを理解し!共有することが…!」

外では相変わらず選挙カーのやかましい演説が続いていた。



僕は光がどんなものなのか知らなかった。

それゆえに、闇がどんなものなのかも知らなかった。

実は僕は生まれつき目が見えないのだ。



僕が存在しているのは、「ある」「ない」の概念すら存在しない、完全無の世界だった。

そう、あのときまでは―

03:41  |  リレー小説  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

2009.02.24 (Tue)

それは刻の物語

遥かなる時空を越え、いくつものトキを見た。

僕はその旅の果てに大事なモノを見つけた。

それは あなたというヒカリ。
僕というヤミ。

僕とあなたが一つになって

宇宙が生まれ 刻が生まれ

そして全てが廻り始める―


[勝手に始まるリレー小説。あなたのその想いの全てを指に乗せて。いざ語らん]
03:25  |  リレー小説  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑
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